Menu

北欧ときめき情報〜Wind from the north Vol.8

Vol.8 ノルウェーのクリスマスを楽しんでみませんか?

もうすぐクリスマス。クリスマス菓子を焼いて、親しい人にプレゼントを用意して、クリスマスツリーを飾って……、そして、雪が降って。この季節、ノルウェーの街にあふれる独特の温かさは忘れることができません。

最近、北欧の素朴なクリスマスが注目され、北欧風のクリスマスツリー飾りを日本の街で目にするようになりました。今回は、ノルウェーで音楽を学んだ三人がノルウェーのクリスマスをご紹介するイベントのご案内です。グリーグのピアノ曲やノルウェーのクリスマスソングを聴いたり、クリスマスツリーの飾りを作ったり、ノルウェーのクリスマスソングを歌ったりと、ノルウェーのクリスマスを満喫できるイベントです。ニッセ(ノルウェーのサンタクロース)やクリスマスツリーも会場で待っています!

それはクリスマスイヴに始まった……。

1994年に冬季オリンピックが開かれたリレハンメル。夕闇の中、市街地を見渡すスキージャンプ台で行われた雪の開会式を記憶されている方もいらっしゃるのではないでしょうか。リレハンメル市の市章はスキーをする人です。そして、その人物画のモデルとなっているのが今回ご紹介する本の主人公ビルケバイネルたちです。王の忘れ形見であるホーコン王子を敵の手から守るために吹雪の雪山をスキーで越え、北に逃れた兵士たちの物語で、1206年のクリスマスイヴに王子を連れた王妃がビルケバイネルに助けを求めてきたことから始まる史実に基づいています。救出されたホーコン王子が偉大な王となったこともあり、ノルウェー人の勇敢さを伝えるこの史実は誇りをもって人々に語り継がれてきました。中世の物語にふさわしい絵が魅力的な絵本です。

おばあちゃんから聞いたクリスマスのお話

ノルウェーではクリスマスイヴは必ず、家族と過ごします。一人で留学をしていた私は毎年、大学の先生でもあった音楽療法士のお宅でクリスマスイヴを過ごしていました。彼のご家族はもちろん、お母さんもいつもごいっしょでした。クリスマスのたびにそのお母さんが言っていた言葉を思い出します。「私はクリスチャンではないから、イエス・キリストが救い主であったかどうかに関心はないの。けれど、クリスマスは一つの希望でしょ。ロマンと言ってもいいかもしれないわね、いつか救いがあるという……」祖母を早くに亡くし、祖母との思い出がほとんどない私には、「おばあちゃんってこんななのかな」と思う、心温まる時間でした。ご紹介する絵本は「ニルスのふしぎな旅」の作者ラーゲルレーヴが残した、彼女自身がおばあさんから聞いたクリスマスのお話に、数十年を経て、ヴィークランドが絵をつけたものです。ヴィークランドは、「長くつしたのピッピ」の作者リンドグレーンの多くの作品の絵を担当してきました。スウェーデンからの、クリスマスの美しい絵本です。
  • 聖なる夜 セルマ・ラーゲルレーヴ 著
    イロン・ヴィークランド 絵
    うらた あつこ 訳
    ラトルズ
    2007年11月刊
    ISBN 489977205X
    定価 本体1880円+税

バックナンバー

  • 坂元 勇仁
  • 井上 勢津
  • 田中 エミ
  • 国崎 裕

イラスト:村越陽菜(むらこしはるな)