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新作品同声二部コーラスワールド　金子みすゞの詩による６つの歌「葉っぱの赤ちゃん」

金子みすゞ

本名金子テル。1903年（明治36）、山口県大津郡仙崎村（現在の長門市仙崎）に生まれる。大津高等女学校卒業、大正末期から昭和の初期にかけ、すぐれた作品を発表し、西條八十に「若き童謡詩人の中の巨星」とまで称賛されながら、1930年（昭和5）、26歳の若さで世を去った。没後その作品は埋もれ、「幻の童謡詩人」と語りつがれるばかりとなったが、童謡詩人・矢崎節夫の長年の努力により512編の詩を収めた遺稿集が見つかり、没後50余年を経て『金子みすゞ全集』（JULA出版局）として出版された。そのやさしさに貫かれた詩句の数々は、いま確実に人々の心に広がっている。生誕100年にあたる2003年4月には、少女時代を過ごした金子文英堂跡地に「金子みすゞ記念館」が完成。全国から20年間で180万人を超える来館者が訪れ、感動を新たにしている。現在までに14か国語に翻訳され、その魅力は世界に広がりつつある。2023年、生誕120年。（JULA出版局）

作品について

金子みすゞの詩による６つの歌「葉っぱの赤ちゃん」

金子みすゞ（1903-1930）は26歳という短い生涯でありながら、20歳から書きはじめた詩はおよそ500編にものぼりました。小さな命へのまなざしが優しい心で描かれた作品の数々は、令和になった今を生きる私たちに向けて、まるで時を超えて語りかけてくるかのようです。ここに並んだ6つの曲は、フレーベル館による「金子みすゞ子どものうたプロジェクト」において生まれた金子みすゞの詩による新しい歌を、二部合唱として編曲したものとなっています。

１．子供の時計　(作曲:岩崎貴文)今でこそテーマパークは数あれど、100年前にこんな大きな時計があったらきっと面白いものですね。そんなわくわくした気持ちになった金子みすゞさんに、皆さんもなってみてください。しっかりと息をそろえ、一緒に歌う喜びを感じましょう。

２．桃　(作曲:小杉保夫) 飛びついた、飛び下りた、で表現される桃の光景が実に痛快でユニークですね。歌はこれらの「飛」の部分が半拍早いシンコペーションのリズムで入っており、勢いの良さが巧みに表現されています。ここがバラバラとずれると力を失いますので、タイミングを意識してしっかりと決めましょう。

３．空いろの花　(作曲:小坂明子)いつも空を見上げているその花が、誰よりもほんとの空のことをよく知っていると、花にむかって語りかけています。優しい気持ちになって花を讃えましょう。[C]や[F]では澄みきった広い大空に包まれるように幅広く歌声を響かせてください。

４．星とたんぽぽ　(作曲:中川ひろたか)「見えぬものでもあるんだよ」。1番も2番もこのように結んでおり、ここにメッセージのすべてが込められています。あまりはっきり歌うと少し説教くさくなってしまうかもしれませんので、歌もピアノも柔らかい表現を心がけてください。

５．葉っぱの赤ちゃん　(作曲:榊原まさとし)生まれたばかりの葉っぱを月や風、そして小鳥がそれぞれの役回りで育てています。私たちもそんな気持ちになって、歌ってみませんか。ピアノはこっそりと、シューベルトの子守唄で。

６．私と小鳥と鈴と　(作曲:黒須克彦)この詩も最後の1行「みんなちがつて、みんないい」にすべてが集約されていることでしょう。ただしこの歌では、そこは力強く歌ってほしいです。上声と下声が分かれる部分では、横の流れを意識して伸びやかに表現しましょう。

アベタカヒロ

: 東京藝術大学音楽学部作曲科卒業。第20回かぶらの里童謡祭作曲公募で最優秀賞を受賞。
合唱と子どもの歌を主軸に幅広く活動している。
主な作品に、「混声（女声）合唱のための最愛」（全音楽譜出版社）、「友達の友達」（混合二部合唱／教育芸術社 ※「中学生の音楽①」掲載曲）、「晴れた日に」（同声三部合唱／カワイ出版）など。主な編曲作品として、大塚製薬「カロリーメイト」CM曲に起用された森山直太朗「さくら（二〇二〇合唱）」(※ユニバーサル・ミュージックよりシングルCDとしてもリリース)、山田和樹アンセム・プロジェクトにおける「世界の国歌」収録曲など。一般社団法人日本童謡協会常任理事。

新作品同声二部コーラスワールド　金子みすゞの詩による６つの歌「葉っぱの赤ちゃん」」（作詩：金子みすゞ編曲：アベタカヒロ）

NO	曲名	作詩	作曲	歌い出し
1	子供の時計	金子みすゞ	岩崎貴文	♪　こんな時計はないかしら。三里さきから字が読める、お城のような、大時計。
2	桃	金子みすゞ	小杉保夫	♪　一、二ィ、三、　飛びついた。　ゆっさゆっさゆれる　桃の枝。
3	空いろの花	金子みすゞ	小坂明子	♪　青いお空の色してる、小さい花よ、よくお聴き。
4	星とたんぽぽ	金子みすゞ	中川ひろたか	♪　青いお空の底ふかく、海の小石のそのように、夜がくるまで沈んでる、昼のお星は眼にみえぬ。
5	葉っぱの赤ちゃん	金子みすゞ	榊原まさとし	♪　「ねんねなさい」は　月の役。そっと光を着せかけて、だまってうたうねんね唄。
6	私と小鳥と鈴と	金子みすゞ	黒須克彦	♪　私が両手をひろげても、お空はちっとも飛べないが、飛べる小鳥は私のように、地面を速くは走れない。