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新作品 同声二部コーラスワールド

作品について

アベタカヒロ

二部合唱のための小組曲「渚で」小学3年生から大学時代まで横須賀で過ごした私にとって、横須賀在住でいらっしゃった川崎洋さんはとても身近に感じられる詩人です。数多くの作品で題材となった「海」は、きっと私の眺めていた海でもあり、これほど作曲への憧れを抱かせることもありません。独特の言葉選び、海を通じ「ニンゲンの始原」まで見渡すスケールの大きさをいかに五線譜に乗せるか。それが私の課題でした。

二部合唱のための小組曲「しあわせ」高田敏子さんの詩を読むと、すっと穏やかな気持ちになったりできるのは私だけではないと思います。ささやかな日常の幸せというものを感じさせるこの3編は、誰より私自身がそんな感覚を取り戻したいという思いで選んだものです。

プロフィール

アベタカヒロ(作曲家)
東京藝術大学音楽学部作曲科卒業。第20回かぶらの里童謡祭作曲公募で最優秀賞を受賞。
合唱と童謡を主軸に幅広く活動し、近年では青森県主催「あおもりをうたおう(南部)」における審査員・講師および最優秀詩作品への作曲・初演や、山田和樹アンセム・プロジェクトRoad to 2020におけるアレンジャー、横浜市芸術文化教育プラットフォームのアーティストとして小学校で合唱制作授業などを展開。主な作品に、「混声(女声)合唱のための 最愛」(全音楽譜出版社)、「友達の友達」(同声二部合唱/教育芸術社)、女声合唱組曲「人間ごっこ」(カワイ出版)、小学校向け音楽劇シリーズ9「イソップ物語」(東京書籍)の劇中音楽など。これまでに作曲を尾高惇忠、加羽沢美濃の両氏に、ピアノを加羽沢竹美、青柳晋の両氏に師事。一般社団法人日本童謡協会理事。

新作品 同声二部

[アベタカヒロ作曲]

作品について

三國隼斗

二部合唱のための小組曲「ここにある」まど・みちおさんの詩のなかから、いま生きているこの世界について想いを巡らせるような、そんな3篇の詩に曲を付けて小さな組曲としました。詩は易しい言葉で書かれていますが、どこまでも深い世界の広がりを感じさせる内容です。「ここにある」というのは第3曲「光」のなかに出てくる言葉ですが、この組曲全体を象徴するテーマとしてもふさわしいと感じ、組曲の題としました。歌はト音記号の譜表で記譜してありますが、男声が1オクターブ下げて歌うことで混声合唱または男声合唱とすることも可能です。

ピース曲 「小さな星」「線香花火」新美南吉といえば「ごんぎつね」や「手袋を買いに」などの童話が有名ですが、詩もたくさん書いています。その中から、言葉が美しく素敵な世界を感じられる2篇を選び作曲しました。それぞれ独立したピース曲で、雰囲気の違う2曲となっています。歌はト音記号の譜表で記譜してありますが、男声が1オクターブ下げて歌うことで混声合唱または男声合唱とすることも可能です。

プロフィール

三國隼斗
青森県青森市出身。幼少期の音楽経験はなかったが上京して千葉大学入学後、千葉大学合唱団に勧誘され入団したことをきっかけに本格的な合唱音楽に出会う。在学中、同大学合唱団の団内アンサンブルコンテストでオリジナルの編曲を音にしたことをきっかけに曲を書くことの楽しさを知り、独学で作編曲を学びながらインターネットを活用して作品を公開するなどの活動を始める。現在はいわゆる"日曜音楽家"として合唱や楽譜制作、作編曲などの活動を続けている。

新作品 同声二部

[三國隼斗作曲]

二部合唱のための小組曲「渚で」 (作詞:川崎洋,作曲:アベタカヒロ) 1.夏の海 2.海 3.海がある

1.夏の海 2.海 3.海がある

歌い出し
1.夏の海:♪ 夏の海は きみと話したがっている きみと遊びたがっている
2.海:♪ かん声をあげて 海へ走り しぶきのなかに消える 子どもたち
3.海がある:♪ 海があるということは 夜になっても仄かな明るさを残す水平線が

【作品について】
小学3年生から大学時代まで横須賀で過ごした私にとって、横須賀在住でいらっしゃった川崎洋さんはとても身近に感じられる詩人です。数多くの作品で題材となった「海」は、きっと私の眺めていた海でもあり、これほど作曲への憧れを抱かせることもありません。独特の言葉選び、海を通じ「ニンゲンの始原」まで見渡すスケールの大きさをいかに五線譜に乗せるか。それが私の課題でした。

第1曲「夏の海」

歌いだしは“間”をうまくとって緊張感を生み出し、そこに“あるひとつの海“が想起されるような感覚になれたらベストです。決まった答えは用意していませんので、いろんなパターンを試してみてほしいです。「ざぶざぶりん」ではほんのりボサノバテイストに作っていますので明るく歌ってください。36小節目からは気持ちを落ち着かせ、星の見える静かな夜の海で、隣にいる誰かに、語りかけるようなイメージで。

第2曲「海」

前奏はペダルで響きを混ぜ合わせ、おぼろげな雰囲気を。13小節目からは濁りが強まってしまうので1小節ごとにペダルを踏み替えてください。音楽はしばらくの間安閑としていますが、43小節目からは話の核心へ迫るようにエネルギーを帯びていってください。テンポをやや切迫させても構いません。

第3曲「海がある」

3曲中、最も規模の大きい曲になっていますが、冒頭から結びまで音楽的な終止感を一度も置かず、全体でもってひとつの大きなフレーズであるかのように作曲しています。それでいながら、音楽は次々と示される「海があるということ」の意味に呼応しながらカラーを変えていきますので、演奏においてもひとつひとつに異なる味付けをしていってほしいです。結びの音作り、ロングトーンなどはまさしく海の大きさをダイレクトに表現したものですので壮大に締めくくってください。なお、この結びの部分やピアノの独奏部分ではドビュッシーのような響きを意図して置いています。



楽譜+縦書き歌詞 サンプル(PDF)
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二部合唱のための小組曲「しあわせ」(作詞:高田敏子,作曲:アベタカヒロ) 1.白い花 2.こおろぎ 3.しあわせ

1.白い花 2.こおろぎ 3.しあわせ

歌い出し
1.白い花:♪ ある日 急に 白い花が咲きました 私のまわりは 白い花ばかり
2.こおろぎ:♪ こおろぎ こおろぎ つかまえた そおっと そおっと 手の中に
3.しあわせ:♪ 歩きはじめたばかりの坊やは 歩くことで しあわせ

【作品について】
高田敏子さんの詩を読むと、すっと穏やかな気持ちになったりできるのは私だけではないと思います。ささやかな日常の幸せというものを感じさせるこの3編は、誰より私自身がそんな感覚を取り戻したいという思いで選んだものです。

第1曲「白い花」

一見するとピアノは複雑に見えますがテンポはとてもゆったりです。柔らかいタッチで、和音の一番上の音が旋律として聴こえてくるように弾いてください。全体には素朴で静かな音楽のイメージとして書いていますが、お花の上品な佇まい、子どものかわいらしさや茶目っ気あるところなど、場面ごとの情景が伝わるような表情付けをしてみてほしいです。

第2曲「こおろぎ」

一転して明るく快活になり、こおろぎと戯れるワクワク感がそのまま音楽になったような歌です。前曲との曲間にしっかりと気持ちを切り替え、出来れば笑顔で!楽しく演奏していきましょう。43小節目の5拍は目一杯の遊び心と、愛情をこめて。

第3曲「しあわせ」

情景描写であったこれまでの2曲とは異なり、高田さんが「しあわせ」について、私たちに直接語りかけてくれているかのような詩です。そういう意味では、演奏者の方々も聴き手のような感覚に浸ってみてもいいのかもしれません。よりいっそうまわりの声や、自分の発する声に耳を傾けてみてください。65小節目からはたっぷりと感情をこめ、ドラマティックに歌い上げてほしいです。80〜84小節目では万華鏡のように転調を繰り返しながら前奏にあった景色に舞い戻ります。ハーモニーをしっかりと確認しておき、音をはずさないようにしましょう。特に84小節目のアルトのF音はピアノにつなぐ架け橋ともなり、ある意味で最大の見せ場です。息づかいと心とをしっかり合わせつつ、静かに曲を結んでください。



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二部合唱のための小組曲「ここにある」 (作詞:まど・みちお,作曲:三國隼斗) 1.ものがある 2.一つぶよ 3.光

1.ものがある 2.一つぶよ 3.光

歌い出し
1.ものがある:♪ ものがある もしも無かったとしたら いや あるにはあっても
2.一つぶよ:♪ ぼくらの まえへと つづき そして うしろへと つづく
3.光:♪ 手で さえぎると じめんが暗くなるので わかる

【作品について】
まど・みちおさんの詩のなかから、いま生きているこの世界について想いを巡らせるような、そんな3篇の詩に曲を付けて小さな組曲としました。詩は易しい言葉で書かれていますが、どこまでも深い世界の広がりを感じさせる内容です。「ここにある」というのは第3曲「光」のなかに出てくる言葉ですが、この組曲全体を象徴するテーマとしてもふさわしいと感じ、組曲の題としました。歌はト音記号の譜表で記譜してありますが、男声が1オクターブ下げて歌うことで混声合唱または男声合唱とすることも可能です。

第1曲「ものがある」

冒頭のピアノはこの曲の前奏であると同時に「組曲」の前奏でもあります。これから広がる世界を予感させるように演奏するのがよいでしょう。さて、この詩にかかれた「もの」とは何でしょうか。作曲するにあたってもあえて具体的には決めず、ひとりひとりの想像に委ねられるよう、軽快なテンポの中にも少し謎を残すように意識して曲をつけました。それぞれの「もの」をイメージしながら演奏してみてください。

第2曲「一つぶよ」

過去から未来へ、外側から内側まで、どこまでも続く時間と空間。そして、そのなかにある一つぶのもの。その深い深い世界に思いを巡らせるように、この曲は響きを意識したつくりになっています。明快なメロディーがあるタイプの曲とは違った雰囲気の部分もありますが、技術的には難しくありませんので音を味わいながら演奏してみてください。

第3曲「光」

降りそそぐ太陽の光をイメージした爽やかな歌い出しから始まりますが、その太陽の光に思いを巡らせてゆく詩の展開に合わせて音楽も表情を変えていきます。爽やかに歌う部分、やさしく柔らかく歌う部分、朗々と歌う部分…など、ここはどういうふうに歌おうかな?と考えながら演奏してみてください。最後は輝く真昼の日差しのように歌い上げて!



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ピース曲「小さな星」 「線香花火」 (作詞:新美南吉,作曲:三國隼斗)

【作品について】
新美南吉といえば「ごんぎつね」や「手袋を買いに」などの童話が有名ですが、詩もたくさん書いています。その中から、言葉が美しく素敵な世界を感じられる2篇を選び作曲しました。それぞれ独立したピース曲で、雰囲気の違う2曲となっています。歌はト音記号の譜表で記譜してありますが、男声が1オクターブ下げて歌うことで混声合唱または男声合唱とすることも可能です。

「小さな星」

歌い出し
♪ 彼は小さな星です 片隅にまたたいています 太陽の雄弁もありません

とつとつと言葉を噛みしめながら語るような音楽です。あまり派手なフレーズや甘いハーモニーは出てきませんが、詩に描かれた「彼」と同様たしかに輝きを持っている、そんな素敵さを表現してください。「彼は小さな星です」というフレーズが何度も出てきますが、毎回少しずつ違いますので、それぞれの歌い分けられるとよいでしょう。12/8拍子は歌ではあまり見かけないかもしれませんが、大きな4拍子ととらえてください。



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「線香花火」

歌い出し
♪ 垣根のそばに おちている 線香花火の もえのこり

ひと夏のちいさな風景と、そこに残る切なさをシンプルな唱歌風のメロディーにしました。最後に詩の第1連と第2連をもう一度くりかえしますが、1回目に歌った時と第5連まで歌ったあとではすこし違った景色が見えてくるかもしれません。楽譜はくりかえしで書かれていますが、1回目と2回目で同じ歌い方をする必要はありません。なお、この曲は二部合唱だけでなく、Iのパートのみを独唱または斉唱で演奏することもできます。



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