Menu

北欧ときめき情報〜Wind from the north Vol.15

Vol.15 デンマークの作曲家といえば、カール・ニールセン

北欧にも夏がやってきました。北欧では8月中旬まで約2か月間、夏休みが続きます。私のノルウェーでの夏休みはいつも6週間のノルウェー語講座でした。母国語がノルウェー語に近いドイツ人やオランダ人に混じり、ツラくて半べそを掻きながら勉強したものです。そして頑張っている自分へのご褒美はいつもアイスキャンディー。家の近くの湖へ行き、売店でアイスキャンディーを買って、湖畔で食べる。今思えば、最高の時間でした。

デンマークの作曲家カール・ニールセン(1865-1931)をご存知でしょうか。童話作家アンデルセンの故郷オーデンセの郊外で生れた、デンマークを代表する作曲家です。今でもコペンハーゲンから電車に乗り、オーデンセへむかうと車窓にはのどかな田園風景が広がります。ニールセンはアンデルセン同様に貧しい家庭の生まれですが、街の中で育ったアンデルセンとは異なり、豊かな自然と素朴な人々に囲まれて育ちました。この本にはそのような環境の中でどのように感性を磨いていったのか、そしてどのように音楽と出会い、音楽の道へと進んだのかが、ニールセン自らの筆で誠実に描かれています。驚くのはニールセンの文章がとても旨いこと。こんなに物語のように読むことができる作曲家の自伝に初めて出会いました。デンマークの田舎で暮らすひとりの少年の物語として読んでも充分に楽しいものです。
オーデンセの旧市街はアンデルセンの生家をはじめ、大きな屋根の小さな家が並び、まるでおとぎの国のようです。旧市街にあるアンデルセンの生家の脇を抜け、コンサートホールを過ぎると、カール・ニールセン音楽院に到着します。そのカール・ニールセン音楽院で学んだ日本人ピアニスト高梨智子さんが校訂・監修したニールセンのピアノ小品集です。2つの曲集から11曲が収められています。
  • ニールセンピアノ曲集 カール・ニールセン 作曲
    高梨智子 校訂・監修
    2008年8月刊
    ISBN 978-4760904761
    定価 本体1500 円+税

バックナンバー

  • 坂元 勇仁
  • 井上 勢津
  • 田中 エミ
  • 国崎 裕

イラスト:村越陽菜(むらこしはるな)