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北欧ときめき情報〜Wind from the north Vol.14

Vol.14 知られざる英雄

イースターが近づいてきました。ノルウェーではイースター休暇は山荘に出かけ、昼はスキーをして、夜は小説に読む。これが定番の楽しみ方です。実際にこの季節にはブックフェアなどが書店で開かれ、多くの人が足を運び、書籍の売上も伸びるそうです。

1994年の米アカデミー賞で作品賞をはじめとする7部門を受賞した『シンドラーのリスト』、そして2015年12月に公開された日本映画『杉原千畝』。どちらの映画でも第二次世界大戦下にナチスの迫害から逃れたユダヤ人を救った人々の姿が描き出されました。しかしそのような勇気ある行動をとったのはこの二人だけではありません。スウェーデンの外交官ラウル・ワレンバーグもその一人。日本ではほとんど知られていませんが、自らを危険な状態にさらし、10万人ものユダヤ人を救出しました。今、中東からの難民問題で揺れる北欧諸国。この本の中には「ながめるだけの、世界の国々」と「わずかながら、勇敢だった人々」というタイトルの賞が出てきます。北欧からの、心穏やかではいられないニュースを聞くと、「『ただながめるだけ』ではいけない」という思いを新たにし、ワレンバーグの勇敢な行動を思い出します。この本は子ども向けの伝記ですが、写真も多く、ユダヤ人の歴史やホロコーストへの説明も豊富なので、大人が読んでも読みごたえがあります。

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イラスト:村越陽菜(むらこしはるな)