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北欧ときめき情報〜Wind from the north Vol.7

Vol.7 ヴァイキングの秘密

北欧の11月は寒くて暗くて、精神的にとてもツライ時期です。そんな中での楽しみはクリスマスの準備。音楽家はクリスマスコンサートの準備を始め、街にはJul(クリスマス)の文字が並び始めます。もうすぐクリスマス……。こう思うだけで力がわいてくるのです。

私が暮らした西ノルウェーの町サンダーネにはヴァイキングのお墓がありました。フィヨルドを望む小高い丘のラズベリー畑の中にひっそりと立つ大きなとがった石がヴァイキングのお墓だなんて、教えてもらわなければ気づくことはなかったと思います。さて、今回ご紹介する書籍では、北欧の古典文学「サガ」に残された記述をもとに、ヴァイキングたちがどのように暮らし、どのような経済活動を行っていたのかが詳しく紹介されています。ヴァイキングは海賊とは違い、広大な農場を持ち、多くの小作人をかかえる地方の大豪族たちでした。そんな彼らの富と権力のバロメータは「もてなし」と「贈り物」。豪華な料理で多くの人をもてなし、貴重な贈り物を渡す。小作人に不足するものがあれば代わりにこれを調達する。これが権力者のあかしだったのです。ヴァイキングたちは「自分が必要とするものを余って持っている人から得る」ということに関しては、交易と略奪に大きな違いを感じていなかったようです。現代の私たちにはなかなか理解できない部分もありますが、単なる海の暴れ者ではないヴァイキングたちの人とのかけ引き術には目を見張るものがあります。

ブルーベリーの森には怖いおばけが住んでいた

近ごろ、北欧はこれまでの「福祉」や「スローライフ」といった言葉に加え、「共生」という観点で語られることが多くなってきました。人と自然との共生は環境問題への取り組みとして、また、人と人との共生は福祉制度や教育制度として紹介されています。障害や病気を持っている人でも、高齢の人でも、異文化の人でも、ちゃんと目を見て、心の窓を開けて、その人の思いを理解すること。これが人と人との共生の基本ではないでしょうか。ご紹介する絵本は2007年度スウェーデンの子どもたちが選ぶ本の人気投票(0〜6歳部門)で第1位となりました。おとぎの森に住むうさぎ一家のおとうとうさぎはブルーベリーの森で、怖いと評判のおばけに出会います。逃げて帰りますが、おばけは家まで追いかけてきます。でも、怖いおばけの目をちゃんと見ていたらおばけの気持ちが分かり、友だちになることができました。単純なことですが、「共生」へと一歩踏み出すには勇気がいるのです。そのことが小さな子どもに理解できる絵本で、しかも、教訓的ではない語り口で書かれています。1983年生まれの若い作者による個性的な絵も魅力的です。

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イラスト:村越陽菜(むらこしはるな)