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北欧ときめき情報〜Wind from the north Vol.1

Vol.1 エドヴァルド・グリーグの歌曲が日本語の合唱曲になりました!

はじめまして、井上勢津です。今月から「週めくり ゆ〜たん音楽堂《音楽万華鏡》」の中で北欧関連情報を担当します。北欧の音楽情報はもちろん、音楽療法や音楽教育、文化、福祉、環境などさまざまな分野にアンテナを張りめぐらせ、情報をキャッチ、そして、それをみなさまにお届けします。よろしくお願いいたします。初回はご挨拶がわりに、昨年、私がかかわったプロジェクトから生まれた楽譜と大切な一冊の本をご紹介します。

昨年2007年はグリーグの没後100年ということで、さまざまなプロジェクトが行われました。その中のひとつがグリーグの歌曲を日本語の新しい詞で、しかも、合唱曲に編曲するというものでした。8つの抒情的な歌曲が、谷川俊太郎さん、覚和歌子さんの作詞、寺嶋陸也さんの編曲で《ソルヴェイグの歌》という女声版合唱曲集になりました。日本語で歌われる、「君を愛す」、「二つの茶色の目」、「ヴェスレメイ」、「さくら草」、「子守唄」、「春」、「流れに沿って」、「ソルヴェイグの歌」は、まるでグリーグの原曲が日本語だったのではと思うほどの美しさです。またピアノ伴奏がオリジナルのままとなっているため、現代を代表する詩人お二人の詞による歌曲としても歌うことができます。さらに、ノルウェー語で歌いたい方のために、ノルウェー語の逐語訳&発音ガイドも付いています。

私の音楽療法士としての原点

私が「本気で」音楽療法士になりたいと思ったのは、オスロにある国立病院の小児病棟でのセッションを体験した時でした。小児ガンや白血病の子どもたちとの45分は、言葉がほとんどわからない、しかも、冬は寒くて暗い異国の地で音楽療法を学びたいと思うのに十分なほど、楽しく、そして緊迫感のあるものでした。将来音楽療法士になったら、小児病棟の子どもたちと活動がしたいと、実習先にもこの病院を選びました。そんな中で、手にしたのが《Morten 11 ar!(モッテン11才!)》という本。死と直面するモッテンが書いた、ジャーナリスト シーモンへの手紙と新聞に掲載されたその手紙を読んだ子どもたちからの手紙の中で語られること、そしてシーモンと生と死について対話するモッテンの姿は私が出会った子どもたちと重なるものでした。ノルウェーでもベストセラーになったこのノンフィクションは、日本語でも読むことができます。私にとっては、あの時の「どうしても音楽療法士になりたい!」という強い思いを再度、思い起こさせてくれる本です。

バックナンバー

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イラスト:村越陽菜(むらこしはるな)