北原白秋特集
北原白秋と童謡
北原白秋生家記念財団 高田杏子
北原白秋は大正7年(1918)鈴木三重吉の児童芸術雑誌「赤い鳥」創刊とともに、その童謡欄を担当し、新しい童謡運動を精力的に展開しました。総数約1,200篇。白秋の童謡には、当時の作曲家たちが競って曲を付け 約400篇に曲が付きその上、一つの童謡に4人5人と作曲しているものもあり、総数600曲を数えるといわれます。
白秋は明治44年(1911)第二詩集「思ひ出」を刊行し、上田敏の激賞をうけます。
白秋は「思ひ出」の序章に「童謡」と注記しています。そして「この『思ひ出』こそは今日の私の童謡の本源を成したものだと云ひ得る」(散文集『風景は動く』)といっています。
今年(2010)この「思ひ出」は発刊100周年を迎えます。また、白秋生誕125周年の節目に(財)北原白秋生家保存会では、白秋の代表的な童謡10曲と野口雨情先生その他、27曲をまとめたCDを製作しました。
タイトルは「揺籠のうた」で、表紙はわが子をやさしく見つめる母親が描かれています。この詩が子供たちの宝物になるように願いをこめて、柳川市に出生届を提出された方々に無償で配布しています。
北原白秋(きたはら・はくしゅう)(1885-1942)
言葉の魔術師といわれた耽美派の詩人。
本名、隆吉(りゅうきち)。福岡県柳川市に、酒造業を営む長太郎、しけの長男として生まれた。伝習館中学時代、白秋の号で詩歌を雑誌に投稿。中学中退後、早稲田大学に進学。1906年、与謝野鉄幹の招きで新詩社入り、「明星」に詩、短歌を発表した。
1908年、新詩社を脱退後、木下杢太郎・吉井勇らとパンの会を起こし、文壇を支配していた自然主義に対抗する耽美派文学の一先駆となった。翌年、「スバル」創刊にも参加。その後、第一詩集『邪宗門』、第二詩集『思ひ出』、第一歌集『桐の花』『東京景物詩及其他』などにより、耽美の世界をうたいあげ、詩壇、歌壇にゆるぎない地位を築いた。
上京し、1916年には江口章子と結婚、千葉県葛飾に転居。閑寂を慕い、芭蕉の寂の近代化を考える中で、歌集『雀の卵』所収の短歌が生まれた。1935年には歌誌「多磨」を創刊し、アララギ派に対抗した。また童謡や創作民謡の分野でも天才ぶりを発揮し、数多くの作品を残した。1942年11月2日、57才で死去。
No. | 曲 名 | 作 曲 | |
1 | 赤い鳥小鳥 | 成田為三 | |
♪赤い鳥 小鳥 なぜなぜ赤い 赤い実をたべた | |||
2 | 秋の野 | 團伊玖磨 | |
♪あの子が ゆくよ 見たよな あの子 | |||
3 | 雨 | 弘田龍太郎 | |
♪雨がふります 雨がふる 遊びにゆきたし 傘はなし | |||
4 | アメフリ | 中山晋平 | |
♪アメアメ フレフレ カアサン ガ ジャノメ デ | |||
5 | あわて床屋 | 山田耕筰 | |
♪春は早うから 川辺の葦に 蟹が店出し 床屋でござる | |||
6 | 犬のお芝居 | 成田為三 | |
♪ちゃっぽんちゃっぽん ちゃっぽんぽん | |||
7 | 兎の電報 | 佐々木すぐる | |
♪えっさっさ えっさっさ ぴょんぴょこ兎が えっさっさ | |||
8 | お月夜 | 山田耕筰 | |
♪トン トン トン あけてください どなたです | |||
9 | かえろかえろと | 山田耕筰 | |
♪かえろかえろと なに見てかえる | |||
10 | かやの木山の | 山田耕筰 | |
♪かやの木山の かやの実は いつかこぼれて ひろわれて | |||
11 | からたちの花 | 山田耕筰 | |
♪からたちの花が咲いたよ 白い 白い 花が咲いたよ | |||
12 | 仔馬の道ぐさ | 山田耕筰 | |
♪道草しずと 早よ駈け仔馬 かるかや桔梗 | |||
13 | 子供の村 | 今川節 | |
♪子どもの村は子どもでつくろう みんなでつくろう | |||
14 | この道 | 山田耕筰 | |
♪この道は いつか来た道 ああ そうだよ | |||
15 | 里ごころ | 中山晋平 | |
♪笛や太鼓に さそわれて 山の祭に 来て見たが | |||
16 | さより | 團伊玖磨 | |
♪サヨリは うすい サヨリは ほそい ぎんのうお サヨリ | |||
17 | すかんぽの咲くころ | 山田耕筰 | |
♪土手のすかんぽ ジャワ更紗 昼は蛍が ねんねする | |||
18 | 砂山 | 山田耕筰 | |
♪海は荒波 向こうは佐渡よ すずめ啼け啼け | |||
19 | 砂山 | 中山晋平 | |
♪海は荒波 向こうは佐渡よ すずめ啼け啼け | |||
20 | ぞうのこ | 湯山昭 | |
♪わたしゃぞうのこ おっとり おっとりしてた | |||
22 | たあんきぽうんき | 中山晋平 | |
♪たあんき ぽうんき たんころりん 田螺が | |||
23 | 蝶々 | 宮原禎次 | |
♪ちょうちょ ちょうちょ からまつ山は まだ日が寒い | |||
24 | 一寸ほうし | 草川信 | |
♪一寸法師の京上り 縫針刀に 麦の鞘 | |||
25 | ちんちん千鳥 | 近衛秀麿 | |
♪ちんちん千鳥の啼く夜さは 啼く夜さは | |||
26 | トマト | 弘田龍太郎 | |
♪麦から帽子に トマトをいれて | |||
27 | 吹雪の晩 | 草川信 | |
♪吹雪の晩です 夜更です どこかで夜鴨が | |||
28 | ペィチカ | 山田耕筰 | |
♪雪のふる夜はたのしいペチカ ペチカ燃えるよ | |||
29 | 待ちぼうけ | 山田耕筰 | |
♪待ちぼうけ 待ちぼうけ ある日 せっせと | |||
30 | 揺籃のうた(ゆりかごの唄) | 草川信 | |
♪揺籃のうたを カナリヤが歌う よ | |||
31 | 栗鼠栗鼠小栗鼠 | 成田為三 | |
♪りすりす小栗鼠 ちょろちょろ小栗鼠 | |||
32 | わらび | 本居長世 | |
♪わらび わらび いついつ萌える |