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くみこん先生の保育士のためのアレンジ講座 Vol.3

貫輪久美子 Kumiko Nukiwa 作詞作曲家・編曲家・劇伴作家・音楽指導者
歌人で箏曲師範の母、祖母の弾く長唄三味線が流れる環境から幼少より邦楽に触れる。
2003年に混声合唱曲『小さな日々と大きな夢』(教育芸術社)を発表以降、多くの合唱作品が教育やサークルなどさまざまな歌の現場で歌い親しまれている。
近年はポップスアレンジも多く形態は合唱・吹奏楽・管弦楽・箏曲・リコーダーなど。
海外合唱団とのコラボ、劇伴制作も積極的に展開中。
https://note.mu/kumikonukiwa

こんにちは、くみこん先生です!
保育士のためのアレンジ講座へようこそ。
この講座では皆さんといっしょに保育の現場で役立つアレンジの方法について楽しく学んでいきたいと思います。
どうぞよろしくお願いします。

本日はともこ先生からのご相談です。

『バシっときまるエンディングを付けたいと思っています。
でも、いつも最後のメロディを繰り返すか、まったく無しかの、どちらかなんです……』

なるほど~。では今回もアレンジのヒントをお教えします。
まずは『むすんでひらいて』を、ともこ先生の『最後のメロディの繰り返しか、
まったく無しか』で試しながら、確認してみましょう。

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先生がいつも使っているこの方法はお手軽で簡単ですが、やはり変化がない。
これだったら、まったく無しの方がむしろすっきりしていいかもしれないですねぇ。
ではこれはどうかしら?

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歌い終わりのメロディを使うのですが、最後の一音をオクターブ上にしてみただけなの。
音って高くなると明るくなるし、八分音符でスパっと上がるからリズミカルで軽やかに聴こえるでしょ?
コードも増やして単調になりがちなところに変化を持たせてみました。

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歌い終わりの『むーすんで』の音を活かして、音価を変えながらエンディングのフレーズを作ってみました。
また右手は上行、左手は下行と左手と右手が離れていくので、演奏音域が広がってちょっとした重みも出せますよ。
そして、次はこれ。

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これは終わりらしさ、つまり〝終止感や安定感〟を出せる簡単な方法です。
終止感を出せる最強の音は主音、この曲では『ド』。
そこに相性のいい6度音程を足してみると、主音単音(ド)だけよりグッと存在感と厚みが出せますよ。
ここではアレンジ講座Vol.1の譜例4で出てきた6度音程を使った二重音にしてあります。
右手と左手の開きも広すぎず狭すぎずで弾きやすいと思います。
1オクターブ下でもいいけれど、この譜例のままの方が譜例2同様に、音が高いので明るくなるわね。
次は、今の二重音の応用をしてみましょう。

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落ち着いた感じを出すために長い音価にしてみました。
安定の主音に6度を付けて順番にオクターブ上がっていくだけ。
同じ音程でただ上げていくだけでもいいけど、どうせなら最後は三重音にすると、ちょっと華やかになる。
せっかく落ち着かせたから、譜例にあるギザギザマークのように
下の音からジャラ〜ンとずらして弾いたり(グリッサンド)、
余裕があればちょっとゆっくりにしていく(リタルダンド)のもいいわね。
そうそう、この最後のように右手でコードを弾く奏法をブロックとかブロック奏法っていうの。
ちょっとした用語も知っておくと便利ですよ。次は、また違うコードが登場します。

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先ほどと同じく6度音程の応用で、
今度はサブドミナント(この曲ではFコード)からトニック(この曲ではCコード)に進行しています。
この進行は明るくてきれいね。
ほら、この進行がこの曲の旋律で使われているのに気づいていますか?
『またひらいて手をうってその手を上に』のところに、Fコードが入っているでしょ?
用語でいうと、このような進行をアーメン終止っていうのよ。
賛美歌の最後の『アーメン』の音がするでしょ。それでは今回の最後のヒントです。

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最後に万能選手のバンプをご紹介しますね。
バンプはVol.2の譜例7で登場しました。
メロディを持たずに伴奏形が続いていきます。
バンプの間に何かを喋ったり、次の構成につなげたりできるので、慣れれば状況に合わせて使いやすいですね。
テンポが早くても、遅くてもOK!
子どもたちに「はーい!みんな元気ににうたえました〜!」と話しかけたり、
教室全体の様子を見ながら自分のペースで長くも短くも調整できます。
ここでは今回の譜例2で締めくくっていますので、他の譜例も付けて試してみてね。

今回のヒントはどんな曲にも応用できます。
ぜひ違う曲でも試して、実践力を付けながら慣れていってくださいね!

それでは、また次回をお楽しみに!

アレンジ講座

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