Menu

唱歌・童謡コーラスワールド第一弾 寺島陸也  横山潤子

【演奏上のワンポイントアドバイス】 合唱指揮者 田中エミによるワンポイントアドバイス 公開中!

寺島陸也

メッセージ

合唱の初心者にとっては取り組みやすく、熟練した合唱団にとってはじっくりと内容を表現することのできるような、シンプルで歌いやすい編曲を心がけました。そしてシンプルさの中にもディナーミクスの変化があり、ピアノ伴奏は歌詞の情景描写に沿って表情を変えるよう工夫も凝らしてあります。華やかな演奏効果ではなく、コーラスとピアノが織りなす素朴な味わいを楽しんでいただければ幸いです。

プロフィール

寺島陸也(てらしまりくや)
東京藝術大学音楽学部作曲科卒、同大学院修了。97年東京都現代美術館でのポンピドー・コレクション展開催記念サティ連続コンサート「伝統の変装」、03年パリ日本文化会館における作品個展「東洋・西洋の音楽の交流」などは高く評価され、06年にはタングルウッド音楽祭に招かれボストン交響楽団のメンバーと自作を含む室内楽を演奏した。作曲、ピアノ演奏、指揮など、活動は多方面にわたる。オペラ『ガリレイの生涯』、『末摘花』、カンタータ『伊邪那岐・伊邪那美』、合唱ファンタジア『オホホ島奇譚』、ヴォードヴィル『タバコの害について』、『尺八・二十絃箏と管弦楽のための協奏曲』など作品多数。「大陸・半島・島/寺嶋陸也作品集」(ALCD9026)、「二月から十一月への愛のうた」(VICS61092)「寺嶋陸也plays林光」(NARD5034)など、多くのCDがある。 ホームページ http://www.gregorio.jp/terashima/

唱歌・童謡コーラスワールド 第一弾

[寺島陸也編曲]

横山潤子

メッセージ

朧月夜私たち日本人にとっての春の里の原風景のような美しい詞。シンプルな構成でありながら情感の豊かな旋律。それだけに、細かな表情をもれなく楽譜に書き入れるのがとても難しく、かなり大まかな感じにしか表記でき得ていません。ですので、コーラス・ピアノ伴奏ともに空気を感じて戴いてこまやかに、しかし自然に、そしてよりご自由に表現を工夫して下さいますよう。

みかんの花咲く丘蜜柑の花が咲くのは5月初旬ごろ。海に迫るなだらかな丘(あるいは山)の濃い緑を白い可憐な花が彩り、爽やかな香りに包まれる美しい季節…とは言っても決して地中海沿岸地方のそれではない、日本の初夏の湿度やのどかさがたっぷり味わえる曲です。全体にシンプルでほわっとしたイメージですが、最後はじっくりしみじみと。Dのフォルテからdolceの部分にかけては、気持ちの高まりを表現するフォルテやdolceで。

紅葉他の唱歌や、あるいはpopsの曲などにもみられるように、この曲でも休符によって旋律が短く区切られる書き方になっています。けれど、そこはせめて4小節を一つのフレーズに感じられるよう上手に工夫して歌いたいところです。1・2番ともにピアノ伴奏の前半は四拍子を四分音符で刻んでいくものですが、ここでもフレーズを大きく感じてコーラスも伴奏もヨコの流れをたいせつに。後半は、より動きをもって伸びやかに。

スキーの歌メロディ主部のスピード感や軽快さと、中間部の大らかさ。その対比をまず。3コーラスあるのでアレンジの様子を変えたり転調もさせたりしていますが、何度となく登場するフレーズにそれでもさすがに耳慣れてきた挙げ句の3番では、歌い始めから何か〆感を出したいですね。fとあるのも、そのためのスイッチのようなもの。ことさら変わったことをするワケではないんだけれども、それまでとは何かが違う、という…技の見せ所?

椰子の実この曲、1コーラスの本体部分って譜面にすると実に8小節しかなかったんだ!ということに改めてビックリしたのは私だけ?かも知れませんが(テンポのせいなのか、スケールも遥かで情報量が多いからか)、いずれにせよ、特に記してはいませんけれど、歌詞の内容にそって情感やイメージを豊かに感じて歌いたい曲です。この曲が大好きだった十代の頃を思い出し、私もまた幸せな気持ちになりました。

春が来た歌詞のシンプルな曲ですので、1〜3番それぞれで歌われる景物の違いによって伴奏の雰囲気を変えてみました。各コーラスの冒頭にそれぞれ「初々しく」「楽しく」「浮きたつように」とイメージを書き入れていますが、ご参考になりますでしょうか。また、そういった雰囲気の違いによって、特に指示はしていませんがテンポにもコーラスごとの自然な揺らぎといったものが生まれてくるかも知れませんね。

夏は来ぬゆかしき風情の味わえる曲、であるだけに歌詞もたっぷり5番まで。ですのでこの編曲では起伏のやや多めなつくりにしてみました。そのかわり合唱パートはシンプルに〈旋律をユニゾンで〉と〈ハモリの部分は毎回ほぼ同じ〉で。各回のイメージの変化を伴奏の雰囲気から汲んで戴くこと、テンポの揺れを効果的・計画的につくること、それからdolce sub.やespr.にもどうぞご注意ください。

ちいさい秋みつけたどんな歌でも編曲に際してはそう思うのですが、殊にこの『ちいさい秋みつけた』では、みんな一回は主旋律を歌ってほしい!歌うべき!歌わないと誰かに叱られそう!…というわけで、このような形になりました。ピアノ伴奏のベースラインの半音進行をはじめとして、曲全体に散りばめられた臨時記号が「ちいさい秋」らしさなのかも。この曲ならではの色合いの中で遊んでいただければ嬉しいです。

この編曲でも歌パートは1・2番ともほぼ同じ、伴奏の様相によって「昼の海」と「夜の海」を…というものです。ここでもまた、テンポの揺れがもたらそうとしているものを活かして(特に、前後半の変わり目の rit. と歌の終わり sosten.poco の匙加減)。それから、ココにもあります dolciss. sub. 。伸びやかで心地よい流れの中にちょっとだけ「くびれ」を。

冬の星座旋律がたえず豊かな上下動を繰り返すものである場合、音域に制限のある声のアンサンブルでは効果的且つ座りのよい三部のハモリが入れにくく(少なくとも私には)なってしまうので、この曲では主旋律とオブリガートという形に徹してみました。32小節目のソプラノ、本当はオクターブ高いG音に飛びついて暫くのびのびしたいところですが、今回はお約束により高音を我慢。パートのバランスに留意して、伸びやかに歌っていただけたら。

プロフィール

横山潤子(よこやま・じゅんこ)
広島に生まれる。東京芸術大学作曲科卒業、同大学院修了。和声・対位法を山田光生、ピアノを野口明子、作曲を浦田健次郎、丸田昭三、石桁眞礼生、松村禎三の各氏に師事。現在、合唱・室内楽作品を中心に作曲・編曲を数多く手がけている。
【主な作品集】『横山潤子作品集 同声編1・2』、『時代 〜 横山潤子編曲集 混声編』(教育芸術社)、混声合唱曲集『天の瑠璃』、『いないいない ばぁ』(カワイ出版)、『たましいのスケジュール』、『ここに海があって』(音楽之友社)、女声合唱曲集『笑いのコーラス』、『妖精の市場』(カワイ出版)、『星の迷い子たち』(音楽之友社)、小学生のための愛唱歌集『魔法の鈴』、『翼をください』、『Jupiter〜祈り』(音楽之友社) ほか。

唱歌・童謡コーラスワールド 第一弾

[横山潤子編曲]
作詞:高野辰之 作曲:岡野貞一 編曲:横山潤子
♪歌い出し:菜の花畠に 入日薄れ 見わたす山の端 霞ふかし

【演奏上のワンポイントアドバイス】
1番のオブリガートはメゾの旋律を消さないように、2番は転調をした鮮やかな色を感じて、フレーズを大きく取って雄大な風景を描きましょう。

作詞:日本古謡 作曲:日本古謡 編曲:寺嶋陸也
♪歌い出し:さくら さくら やよいの空は 見渡すかぎり

【演奏上のワンポイントアドバイス】
ディナーミクスの差は、「強い」、「弱い」ではなく音色を変えて、色々な桜を表現してみましょう。ピアノの音型が2小節フレーズで変化しますので、うまく乗せて音楽を運び、優雅に歌いましょう。

作詞:高野辰之 作曲:岡野貞一 編曲:横山潤子
♪歌い出し:春が来た 春が来た どこに来た

【演奏上のワンポイントアドバイス】
1番~3番の表情記号やピアノの動きに注目してみましょう。1番のユニゾンの旋律から、2番は後半が3声に分かれるときに、旋律の豊かさが失われないように、たっぷりとした息で歌いましょう。3番はテンポや強弱の変化を豊かにつけて。

作詞:高野辰之 作曲:岡野貞一 編曲:寺嶋陸也
♪歌い出し:春の小川は さらさらいくよ

【演奏上のワンポイントアドバイス】
3声のバランスを取りながら、シンプルな旋律の中にもディナーミクスを最大限に活かして豊かに歌い上げてください。

作詞:佐佐木信綱  作曲:小山作之助  編曲:横山潤子
♪歌い出し:うの花のにおう垣根に 時鳥 早もきなきて 忍音もらす

【演奏上のワンポイントアドバイス】
調性の変化に伴って、気温が上がったり、光が増したり、というように声や表情にも変化をつけて楽しんでみてください。1番のユニゾンはたっぷりと、2番から5番までは3声3声のハーモニーはほとんど変わらないので、言葉を十分に生かしてみましょう。

作詞:加藤省吾  作曲:海沼実   編曲:横山潤子
♪歌い出し:みかんの花が 咲いている 思い出の道 丘の道

【演奏上のワンポイントアドバイス】
8分の6拍子が重たくならないよう、大きな2拍子を感じて。後半はテンポや表情の変化を工夫してみましょう。

作詞:文部省唱歌  作曲:文部省唱歌  編曲:寺嶋陸也
♪歌い出し:村のちんじゅのかみさまの きょうはめでたいおまつり日

【演奏上のワンポイントアドバイス】
1番、2番、3番と、お祭りのお囃子がどんどん近づいてくるような遠近感があります。2度音程のぶつかりを楽しんでみましょう。

作詞:文部省唱歌  作曲:文部省唱歌  編曲:寺嶋陸也
♪歌い出し:われは海の子白波の さわぐ磯部の松原に

【演奏上のワンポイントアドバイス】
1番と2番は逞しさ溢れるfで始まり、3番はきらめく海の波のようなピアノに乗ってたっぷりと、でもmfで、というように表情を変えて演奏してみましょう。

作詞:斎藤信夫  作曲:海沼実  編曲:寺嶋陸也
♪歌い出し:しずかな しずかな 里の秋 おせどに木の実の

【演奏上のワンポイントアドバイス】
歌詞の中の情景をピアノパートが美しく描いていますので、それを手がかりに自然な表情が生まれるととても素敵ですね。

作詞:サトウハチロー  作曲:中田喜直  編曲:横山潤子
♪歌い出し:誰かさんが 誰かさんが 誰かさんが みつけた

【演奏上のワンポイントアドバイス】
1番は原曲のまま、2番からは3声の合唱になりますが、ピアノパートのリズムを受けて、あまり重くならずに。旋律に絡む2声のボカリーズもお互いよく聴きあいながらアンサンブルをしましょう。

作詞:薩摩忠  作曲:小林秀雄  編曲:寺嶋陸也
♪歌い出し:まっかだな まっかだな つたの葉っぱが まっかだな

【演奏上のワンポイントアドバイス】
1番から3番まで、毎回ピアノの表情が変わっているのに留意して、のびのびと、歌詞の情景を表現してみましょう。

作詞:高野辰之  作曲:岡野貞一  編曲:横山潤子
♪歌い出し:秋の夕日に照る山紅葉 濃いも薄いも数ある中に

【演奏上のワンポイントアドバイス】
4小節フレーズを保って8小節のさらに大きなフレーズを作れるといいですね。2番のオブリガートとは滑らかに、メロディの音域を上下しますが、自然に絡むようにできると素敵ですね。

作詞:林柳波 作曲:橋本国彦 編曲:横山潤子
♪歌い出し:輝く日の影 はえる野山 輝く日の影 はえる野山

【演奏上のワンポイントアドバイス】
爽快感のあるピアノに乗って、また7度や6度音程の跳躍はのびやかに歌いましょう。3部合唱になったら重厚感を出せるように各パートがしっかりと、3番のオブリガートは遊び心をもって。

作詞:文部省唱歌 作曲:文部省唱歌 編曲:寺嶋陸也
♪歌い出し:さ霧消ゆる湊江の 舟に白し 朝の霜

【演奏上のワンポイントアドバイス】
4小節ごとの強弱や表情の変化を感じてみましょう。また、時折、メゾやアルトにスパイスのように現れる半音階はとても丁寧に。3番のピアノの和音進行のテンションを受けて、冬の寒さや静けさを表現してみましょう。

作詞:(訳詞)堀内敬三 作曲:ウィリアム・ヘイス 編曲:横山潤子
♪歌い出し:こがらしとだえて さゆるさらより ちじょうにふりし くすしきひかり

【演奏上のワンポイントアドバイス】
旋律は2小節ごとに休符がありますが、4小節の大きなフレーズ感を失わずに、曲の伸びやかさを出してみましょう。1番はカノンのようにアルトが旋律を追いかけますので、ソプラノと対等な関係でしっかりと入りましょう、2番のソプラノのオブリガートはアルトの旋律を消してしまわないよう思いやりをもって、そしてなめらかに。

作詞:文部省唱歌 作曲:文部省唱歌 編曲:寺嶋陸也
♪歌い出し:雪やこんこ あられやこんこ

【演奏上のワンポイントアドバイス】
付点の弾み具合が重くならず、かつ滑らないように注意が必要です。2番は旋律の追いかけっこは後半がトリッキーですが、細かい音符を正確に捉えつつ、はつらつと演奏したいですね。

作詞:文部省唱歌 作曲:文部省唱歌 編曲:横山潤子
♪歌い出し:松原遠く 消ゆるところ 白帆の影は浮かぶ

【演奏上のワンポイントアドバイス】
ゆったりとした波のようなピアノに乗って、4小節の大きなフレーズを保ちましょう。歌詞の内容を受けた1番と2番の表情(テンポ、強弱)の違いを楽しんでみてください。ソリと合唱のバランスには留意して旋律が活かされるように工夫してみましょう。

作詞:巌谷小波 作曲:文部省唱歌  編曲:寺嶋陸也
♪歌い出し:あたまを雲の上に出し 四方の山を見おろして

【演奏上のワンポイントアドバイス】
4小節のフレーズを朗々と歌い切りましょう。パート間の2度のぶつかりにも留意して、フレーズの終わりが沈まないようにしたいですね。

作詞:高野辰之 作曲:岡野貞一 編曲:寺嶋陸也
♪歌い出し:兎追いしかの山 小鮒釣りしかの川

【演奏上のワンポイントアドバイス】
シンプルな3声のコーラスに、やはり毎回ピアノの変化がついていますので、それを受けて表情を変えてみてはいかがでしょうか。3番のディナーミクスの変化に留意しましょう。

作詞:島崎藤村 作曲:大中寅二 編曲:横山潤子
♪歌い出し:名も知らぬ遠き島より 流れ寄る椰子の実一つ

【演奏上のワンポイントアドバイス】
1番はたっぷりしたユニゾン、2番からはメゾパートがソロを担当するように、3番は合唱とオブリガートとの絡み合いを楽しみ、「いずれの日にか国に帰らん」のテンポやディナーミクスの変化に思い切ってチャレンジしてみましょう。




新作合唱曲 関連特集
  • 0041
  • 0043
  • newchorus2020
  • newchorus2021
  • 0041