ゆーたん音楽堂[音楽専門館]

週めくり ゆ〜たん音楽堂《音楽万華鏡》

当世女子大生的音楽事情 Vol.9

第9回は、私たちのリーダー事情について。

 “リーダー”という言葉を聞いて何を連想しますか? 私は、「あいつ、偉そうに」とか言われてしまうために、だれも立候補せず妙な沈黙が流れつづける小、中、高校生のころの学級委員長決めの風景を思い出します。大人になっても、そんな状況は、変わらないのかもしれませんね。多くの人が責任を持つことを嫌がり、なったらなったでやっぱり非難され……リーダー職はなぜあんなにも難しいのでしょう?
 しかし、その一方で、不安定な世の中に、不安定に生きる当世の若者のあいだには「いい加減、強力なリーダーが現れてくれればいいのに。そういう人にやれ、頑張れ、って言われたら頑張っちゃうのに」という空気も感じられます。例えば、「私を信じて黙ってついてくればいいんだ」などと言われたら、たいていは戸惑ったり笑っちゃったり心配すらしてしまいますが、もし、これを本物のリーダーが言ったら「はい!(目はキラキラ)」となるでしょう。もし、そんな「本物のリーダーパワー」を持った人がオーケストラの指揮者だったら……。

  • 中丸美繪 著
  • 文藝春秋
  • 2008年9月25日刊
  • ISBN 9784163705804
  • 定価 本体1714円+税

 生い立ち、人柄、音楽への思いを知るとともに、戦後のオーケストラの歴史物語のような、人物事典のような要素もあります。何となくひきつけられる、なぜかやってやろうじゃないかという気にさせる、朝比奈先生はそういう正真正銘のリーダーパワーを持っていらしたようですが、多くのリーダーと同じように、時代の流れと共にその力を失わざるをえなかった状況についても、切ないぐらいしっかり向き合って描かれています。
 また、大前提として音楽を追究しつづける姿勢が人々の尊敬を集めていたことは言うまでもありません。指揮者の役割とは何か、私はよく分かっていなかったようです。正確にテンポを刻むだけなら機械だってできるし、強弱や楽想は楽譜に書いてあるのです。でも、その人がそこに立つだけで何十人もの、言ってしまえば他人が、「その人の」音楽を奏でる・・・CDを聴きながら想像しただけで背中がぞわぞわっとします。生の演奏を聴きたかった、本当に。

 この本、書店で平積みの本を眺めたときに、真っ先に目に飛び込んできました。素敵な題字のせいかなー、と思ったのですがそれだけではなく、やはり、写真のオーラにひきつけられてしまったのかもしれません。思わず、前回同い年の指揮者を取り上げたことも忘れて選んでしまいました。