ゆーたん音楽堂[音楽専門館]

週めくり ゆ〜たん音楽堂《音楽万華鏡》

当世女子大生的音楽事情 Vol.4

第4回は、私たちの留学事情について。

 何かに打ち込んでいることがある人ならだれしも、その「本場」と言われる所に行って勉強してみたい、と一度は思いますよね。野球ならアメリカ、食ならフランス、では、音楽なら…、やはりウィーンでしょうか。本当に本場なのか、自分の勉強したいものがそこにあるのか、は別にいいんです。とにかくあこがれの場所に行ってみたいんです。
 「じゃあ、ちょっと行ってくるねー」とコンビニに行くような感覚で行けたらどんなにいいだろう、と思いますが、残念ながら日本は島国なわけです。私は今年の2月(年間で最も安い時期)にニューヨークに行きましたが、「4泊6日でなぜ!」「運転免許取れるじゃん!」というほどのお金が消えていきました。きちんと勉強しようと思うと、短くて3か月、できれば1年以上滞在したいものですが、いったいいくらかかるのだろう…と途方に暮れて実際に計算はしないまま、留学の夢はだんだんフェードアウトしていくのです。

では、小澤征爾はどうしたか。

  • 小澤征爾 著
  • 新潮社
  • 1980年7月刊(2000年改版)
  • ISBN 4101228019
  • 定価 本体430円+税

 実力はあるけれど、ウィーンへの渡航代と現地での生活費が足りなかった小澤征爾はどうやってそれを確保したのか、皆さんもぜひ想像してからこの本を読んでみてください。ヒントは「貨物」と「バイク」です。(もちろん、ただバイトをしてためたのではありません!)私はそれを知った時、「方法はいくらでもあるんだ!」と衝撃を受け、旅、あるいは留学への夢が一気に膨らみました。あの時代だからできることなのかもしれないけれど、今でも、お金がたっぷりあって環境もバッチリ整った留学よりも断然あこがれます。

 指揮者としてすばらしい方、ということはもちろん知っていたけれど、この本を読んでからは、小澤さんの行動力を本当に尊敬しています。「本当の挑戦」ってどういうことなのかを教えてもらいました。何か行動を起こそうとしながらすぐに諦めそうになった時、「方法はいくらでもあるはず。本当に考えつくしたのか? いろいろな角度から考えたか?」ということを改めて自分に問いかけるようになりました。この本は「世界的な指揮者・オザワの自伝」というよりも「小澤征爾の、野心と情熱あふれる若き日の冒険記」です。世界のオザワがぐっと身近に、いえ、「身近にいるあこがれの先輩」のように感じられますよ。